2000年9月20日〜27日 
 航海記(2)・大分〜長崎 ヨット・さらく ヤマハ30CU
台風14号の接近で7日から宮崎港マリーナに停泊.。
3日間、宮崎の人たちにあちこち案内してもらったりしていたがいったん長崎に帰った。
19日、宮崎にもどり再出港の準備。恥ずかしい話しだが台風のようすをみていた3日間、時間がある時にやっておこうとエンジンのベルトを張りなおしていてボルトを締めすぎてねじ切ってしまった。
幸いエンジンにくわしいヨットのオーナー、海江田さんのおかげで修理できた。
航海が続けられたのは本当にこの人のおかげ。別なオーナーから釣れたての太刀魚の差入れがありこれまた別のオーナーと別れの酒宴。
20日6時出港 晴
早朝のうちは西よりの5ノットくらいの風9時すぎから北にまわって強くなり20ノット。
船酔い気味でコックピットで寝ている間に強くなり気がついた時には白波だらけ。都井岬リーフしようにも波が高くてあぶないので岬の影に入ろうとして走り始めたら風下にいる漁船がなにやら合図している。悪い予感がして漁船の後ろを見たら案の定、延縄でもやっているのか、旗が陸の方へ延々と続いている。この風波の中で2回もジャイブするのかと思うとウンザリしたがしかたがない。
内之浦港2Pリーフしたあと油津沖の大島の西側に入り、しばし休息しながら南下。島影から出ると後ろからの波で走りにくかったが風は吹きつづけたので志布志湾の内之浦港まで来た。走行距離54,6マイル、平均速度は約5,5ノット。都井岬は3〜4マイル沖を走ったが波が悪かった。志布志湾では風速計が数回、30ノットを指した。
内之浦のシブイ看板内之浦には食堂、寿司屋、スーパーあり。バス通りにあったシブイ看板。5人の肖像のうち西郷、大久保まではわかる。あとはわかりもさん。
21日
午前8時出港 2Pリーフ晴 東の風、5〜15ノット。波浪注意報。
東からのうねりの中、東大宇宙航空研のロケット発射台をながめながら南下。
風が落ちた時、メインシートの3シーブブロックがガチャガチャいっていたが船酔い気味で放っておいたらボルトが抜けてバラけてしまった。あわてて修理にかかったがセールを降ろそうと針路を変えると
本船が向かって来た。昨日のジャイブの時もそうだったが悪いことは重なるものだ。
岸から1,5マイルくらいを走ったが数百トンクラスの本船はさらに岸よりを波にもまれながら走っていた。
潮流の影響を考えてのことだろう。大泊港
海にビニール袋などが浮いているのがよく見えるようになった。
たぶん今までも浮いていたのだろうが海水の透明度が良くなってきて目立つようになったのだろう。
大泊港の入り口でフェンダーを落としてしまった。買ったばかりの物だったのでひろいあげようとしたが、何度も波でひろいそこなっているうちにだんだん船が浅瀬に近づいていくのにはあせった。4回目のトライでやっと成功。
14時50分、大泊港到着。小さな港で港内いたるところにブイが浮かんでいる。台風時は漁船が岸壁から離れるためのものらしい。隅っこに泊めたら岸壁から垂れていたロープがキールとラダーの間に入ってしまった。取り除くために潜り取り除いた。さすがに水温は高かった。あとで漁師さんにあんな隅に泊めないで漁協の前に泊めればよかったのにと言われた。教訓・遠慮のしすぎは失敗のもと潜ったついでにアナログ速度計のセンサーに付いていた貝を落として回るようにした。GPSが表示する対地速度よりアナログ速度計が示す対水速度の方が1ノット以上速い場合、行きたい方向からの潮流や海流の影響が大きいと考えて走る海面を変えることにしている。
ここは自分にとってヨットで寄港した港の中で最も南になる。港のまわりの山にはえている木々のなかには椰子のようなものもあり南に来ているという実感。釣り具屋で氷を買い近所をぶらつくと雑貨屋が2軒あった。港の反対側に「ふれあいの郷」とかいうホテル風の建物があり風呂やレストランがあるそうだ。
この時期は夜間、集魚灯に集まるトビウオをたも網ですくいあげる漁が盛んだそうな。
走行距離・38,8マイル
(事前に海図で調べると約30マイルだったのにどうしてこんな数字が出たのか不明)
9月22日
8時出港 快晴 はじめ南東のち南西の風6〜12ノット佐多岬沖まで2Pリーフで行ったが風が落ちたのでフルセールに。GPSの緯度表示が30度台になったところで記念撮影。佐多岬での記念撮影
岬の南西側で波が悪いところがあったがあとは南西の風で快調に走った。14時40分枕崎港到着。
昨日の教訓から今日は最初からポンツーンに横付け。枕崎は港の近くに銭湯、食堂、スーパーそれにコインランドリーがある。あちこちから漁船が集まる港だからだ。そういえば知り合いの五島の漁師さんの奥さんは枕崎の出身。どうやって知り合ったか聞いても照れて教えてくれなかったっけ。♪女港町どうしてこんなに夜明けがはやいのさ♪恋がうまれる港?さらくにはその気配もなし。スーパーことぶきの近く、定食の店「おふくろ」は安くておいしい。かわいい娘もいる。銭湯は消えかかった「女湯」の看板が目印。うっかりすると通りすぎてしまう。港近くの店でカツオ製品などおみやげも買える。
31マイル体が船に慣れてきた
9月23日
6時半出港 晴 北より10〜20ノット港を出てしばらくは風があまり吹かなかったのでフルセールにしたとたん吹いてきた。北よりの風なのでブランケットになっていたのに気づかず迂闊。2Pにリーフ。坊の岬をまわるころにはさらに強まった。向い風のうえ沖合いは波が大きいので岸よりのコースをとった。岸に数百メートルまで近づいてはタック、ちょっと沖に出てまたタックの繰り返し。坊の岬から野間岬まで12マイルの間で9回タックした。
野間池港ロング串木野まで行くつもりだったが野間池港に入った。港入り口になんと「ゆ」の文字が見える。ひょっとして二日続きで風呂に入れる?期待がふくらむ。入港してみるとここに泊めてくださいといわんばかりのポンツーンがあるではないか。13時到着。
笠沙恵比寿(かささえびす)という所らしい。なんのことやらと思いながら停泊の挨拶に行った。
ここは笠沙町がこの夏にオープンさせたばかりの宿泊、風呂、レストラン、それに博物館を一体にし野間池港た施設だった。博物館にはなんとヨットの資料室がある。そういえばポンツーンの反対側にはTARACHINEというヨットがもやってあった。どうもその展示室らしい。見ているうちにそのヨットは世界一周の航海を2回もしていることがわかってきた。そういえば、どこかで聞いたことがある。オーナーがこの町の出身者ということで展示されているのだ。300円を払って展望風呂に入った。湯気でくもるガラスごしに白波の立つ海を見ていたら出港する気持ちが失せてきた。JCN会員から聞いた寿司屋「磯」へ行った。見た目にも美しく、食べても美味しいカンパチ刺身。南日本新聞を読みながらあら煮定食も食べた。これでますます出港の意思はなくなった。
29,6マイル

9月24日
レンタル自転車を借りて散歩。風力発電所があるくらいだから年中、風の強い所なのだろう。定置網の水揚げを見に行くとヒラスが大漁。野間池港の水揚げ、ヒラス漁協で氷をもらったついでにカワハギの大きいやつ、名前は忘れたがそれをもらい刺身にして食う。タラチネの展示室でオーナーの迫さんが使った海図を見た。マゼラン海峡、マリアナ諸島、サンフランシスコ、世界中の海図がある。惜しむらくは整理されていないこと。ヨット関係の書籍もある。30年近く以前に出版された「クルーザー艇長実務」を読む。こんな本があったのかと驚くほどの内容。強風の中セーリングしていて、今舵が壊れたらどうすればいいのだろうと考えたことがあった。この本にはポールやロープなどを使った応急処置の方法が書いてあった。最近、ヨットはやればやるほど奥が深いことがわかってきたがなかなか疑問に答えてくれる人が見つからない。泊めていたポンツーンは本来はホエールウオッチングなどの船用だが時化で運航しなかったのでずっと使わせてもらった。ビジターヨット用のポンツーンがあればもう言うことなし。
9月25日
7時出港 晴 北より5から15ノットはじめフルセール、のち1Pリーフ。
昼過ぎ甑島が見え始めた。串木野港沖は漁船や甑島との定期船などの往来多し。原発を見ながら川内港に入る。15時到着。港には釣り人相手の小さな店が一軒あるほか何もなし。釣りに来ていた人の車に乗せてもらい氷、軽油など買いに行った。原発や火力発電所があるせいか
ダンプやトラックが多く少し殺伐とした印象。
33,7マイル。
9月26日
6時半出港 晴 北北東〜北5から20ノット天草下島南西沖の小さな島々を沖よりにかわすコースをとった。はじめ1Pリーフ、昼前フルセール、昼過ぎには2Pリーフ。沖は波高2メートル。今日も9回タック。魚貫と書いて「おぬき」と読む湾あり。
崎津港の教会ここにも港はあるがさらに北の崎津へ行った。教会が見える港だが漁船でいっぱい。大江港に入り漁協のポンツーンへ。挨拶にいくと外側になら泊めていいと言われた。16時20分着。広い港だが漁船の数は少ない。漁協の反対側の岸壁にも停泊スペースあり。町議選の真最中で選挙カーが次々にやってきた。
食堂をのぞいてみたが、おばさんが選挙の応援に行ってしまい開店休業状態。裏口にネコが5〜6匹たむろしていた。雑貨屋、酒屋あり。丘の中腹に教会が見えた。
44,6マイル
9月27日
6時半出港 晴 北東10〜20ノット湾内は静かだったが沖を見ると水平線がギザギザ。2Pリーフのままクローズドリーチで走る。艇速は6〜7ノット。波高1,5メートル。時折スプレーを浴びる。薄手の合羽を着ていても暑くない季節になった。最初から20マイル先の野母半島が見えて気分的にも楽だった。
10時すぎ久しぶりの野母崎をまわると波もなくなり風も落ちた。あとは軍艦島、高島、伊王島と慣れたコースだ。14時、長崎市小江貯木場に到着。
小江木材が入ってこないのでプレジャーボートの泊地になってしまった所。
百隻ちかいボートが泊めているがヨットはさらくだけ。迎えに来てくれた人に舫を投げた。
九州南回りの航海は終わった。

全航程394,1マイル、十日間(台風避難、停泊の日を除く)